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社内問い合わせを“自動で標準化”する — チャット応対自動化でプロセスとガバナンスを強化

業界:金融・保険 部門:環境・安全・CSR 課題:プロセス標準化・ガバナンス強化 ソリューション:チャット応対自動化(社内向けサポートチャットボットの導入と定期運用によるQ&A管理)

背景・課題

環境・安全・CSR部門では、従業員からの問い合わせ対応や安全手順の運用が現場ごと・担当ごとにばらつき、手作業での対応が中心なためプロセス標準化が進まず、監査やガバナンス(誰がいつどの情報を参照したか、改訂履歴の管理)が不十分である。

AI活用ソリューション

社内向けチャットボットを唯一の一次窓口として導入し、Q&A(FAQ)をExcel等の簡易フォーマットで一元管理してチャットボットに展開する運用を徹底する。具体的には:1) 環境・安全・CSRで想定される定型問い合わせカテゴリ(手続き、報告方法、安全マニュアルの所在、緊急連絡フロー等)を洗い出し、Excelシートで「質問」「標準回答」「関連手順書リンク」「担当窓口」「更新日」を定義。2) これをチャットボットプラットフォームにインポートし、チャットは社内認証(Single Sign-On)で利用可能にしてログを紐付ける。3) 月次のQ&A定例で回答精度・未対応パターンをレビューしてExcelを更新、ボットへ反映する“運用サイクル”をルール化。4) 回答ログから未解決質問や繰り返し発生する問い合わせをダッシュボードで可視化し、標準手順の改訂や教育につなげる。これにより、担当者依存の対応を排し、更新履歴とアクセスログでガバナンス要件を満たす運用が可能になる。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 問い合わせは電話やメール中心で個別対応。担当者ごとに回答が異なることがあり、回答の履歴管理や改訂履歴が散在。プロセスが標準化されておらず、監査対応や再発防止が手間。
  • 導入事例ではチャット利用が月間約3,000件に達し、システム関連等の定型問合せを中心に約50%の問合せ削減を達成。仮に従来1件あたり平均対応時間10分とすると、月間約250時間(=3,000件×10分÷2)程度の工数削減が見込まれる(試算条件の明示:1件10分、削減率50%は事例値)。

導入後 (After)

  • 社内チャットボットを一次窓口に集約し、定型問合せの自動応答率が高まることで対応基準が統一。回答ログと更新履歴が一元管理され、監査やガバナンス要求に対応しやすくなる。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

成果として、月間数千件規模の問い合わせをボットで吸収し、定型対応の平均応答率は約90%超を維持。工数削減により運用コスト削減と対応品質の均一化が進み、監査対応や改訂管理の負荷も低下する。ROI試算の例:月間250時間の削減×仮定の平均時給3,000円=月額約75万円、年額約900万円の人件費相当削減(前提条件を明示して算出)。

実事例

SOMPOシステムズは社内のPC・アカウント関連など定型問合せ向けにユーザーローカルのサポートチャットボットを導入し、ExcelでQ&Aを管理して月次で更新する運用を行った結果、月間約3,000件の利用・平均応答率90%超・システム関連問合せを約50%削減するなどプロセス標準化とガバナンス強化に成功している。

https://chatbot.userlocal.jp/document/casestudy/sompo/

さらなる展開

社内向けで確立したQ&A運用とガバナンス基盤を活かし、他部門(リスク管理、法務、庁外窓口)への横展開が可能。さらに顧客向けチャネル(保険契約者向けFAQチャット)への拡張、チャットログを用いた定期的なリスク傾向分析やコンプライアンス監査支援、ナレッジを用いたオンボーディング教育コンテンツの自動生成などが見込める。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - 問い合わせログ(電話・メール・既存FAQ)を3ヶ月分抽出、定型化率を算出。問い合わせカテゴリごとの件数と想定対応工数(平均対応時間)を洗い出し、優先カテゴリを決定する。ガバナンス観点で必要なログ保持、認証、改訂履歴要件を定義する。
  2. 費用対効果の試算 - 優先カテゴリの対象化で期待される自動化率を見積り、想定工数削減を算出。初期導入費(プラットフォーム、連携開発、認証設定)と運用費(月次ライセンス、更新作業工数)を比較してROIの試算を提示する。
  3. PoC検証 - まず1〜2カテゴリ(例:アカウント、社内システム操作、安全報告手順)でスモールスタートのPoCを実施。ユーザー認証連携、Excel→ボット変換、管理画面での更新運用を検証し、応答精度と運用負荷を評価する。KPIは自動応答率、未解決率、ユーザー満足度、月間利用数とする。
  4. 社内稟議 - PoC成果をもとにコスト、効果、運用体制(担当者、更新頻度、エスカレーションルール)、ガバナンス(ログ保存期間、アクセス権限、改訂履歴管理)を明記した提案書を作成し稟議申請。
  5. 本番導入 - 全社・他部門への展開を段階的に実施。Excel等でのQ&A管理テンプレートと月次更新ワークフローを組織内標準に落とし込み、ダッシュボードで未解決件や重要FAQの改訂要求を可視化。定期的な運用レビュー(例:月次)で品質を維持し、必要に応じてナレッジの階層化やFAQの構造化を行う。

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