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動画で“属人の壁”を壊す—歩行分析AI×申し送りで新人でも同じ品質のケアを実現

業界:医療・福祉 部門:サービス・カスタマーサポート 課題:人手不足・属人化解消・省力化 ソリューション:技術伝承・教育支援

背景・課題

介護・医療現場では、ベテランの観察眼や介助のコツが口伝や紙の申し送りに依存し、解釈差や抜け漏れが発生。新人教育に時間がかかり、家族対応でも説明の一貫性が担保しづらい。人手不足でOJTの時間も取りにくく、結果としてケア品質のばらつきとスタッフの負担が増大していた。

AI活用ソリューション

歩行分析AIと動画共有アプリ(CareWiz トルト)を用い、熟練者のケア手順と観察ポイントを“短尺動画+客観データ”で可視化・標準化する。具体的には、入居者の歩行シーンを撮影するとAIが速度・歩幅・左右差・ふらつき等の指標を自動抽出。ベテランが解説コメントを重ねた3〜5分の“マイクロ学習”動画として保存し、利用者別にタグ付け。シフト開始前や申し送り時に再生するだけで、誰でも同じ観点で状態を把握し、同じ順序・力加減で介助できる。家族説明では動画と指標を同時提示することで納得感を高め、問い合わせ対応の時間を短縮。個人情報は同意取得・アクセス権限・保管期限で統制し、既存の業務連絡・eラーニングに連携して現場フローを崩さず運用する。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 申し送りは文章中心で主観が混在。新人は現場で都度確認が必要で、独り立ちまで時間がかかる。家族説明も言語のみで伝わりにくく、再問い合わせが発生。
  • 申し送り作成・確認が1利用者あたり約30分→10分、家族説明の再問い合わせ対応が週計2時間→30分へ(目安)。教育は座学中心から“動画復習”へ置換し、OJT準備工数を約30〜40%削減(施設規模により変動)。

導入後 (After)

  • AIが抽出した歩行指標と短尺動画により、観察観点・介助手順が統一。新人は動画で即復習でき、家族説明は“見せて伝える”運用に。問い合わせ対応は動画リンクで再説明が容易に。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

定量:申し送り・問い合わせ・OJT関連の月間削減時間が合計で約200〜300時間(中規模ホーム想定)。人件費単価1,600円/時で月32〜48万円の削減余地。AI利用料・端末費を差し引いてもROIは1.5〜3.0倍が目安。定性:ケア品質のばらつき低減、家族の安心感向上、スタッフの心理的負担軽減、離職リスクの抑制。

実事例

介護付き有料老人ホーム「アズハイム」を運営するアズパートナーズは、歩行分析AIと動画共有アプリ「CareWiz トルト」を全ホーム導入。熟練者の介助手順と観察ポイントを短尺動画化し、AIが算出する歩行データと併せて申し送り・教育・家族説明に活用。属人化や解釈差を抑え、短時間で同品質のケアと省力化を実現している。

https://as-heim.com/it/post-8208/

さらなる展開

横展開として、転倒・褥瘡・嚥下などテーマ別“標準ケア動画”の社内カリキュラム化、看護・リハ・相談員・送迎スタッフへの職種拡張、感染症対応や緊急時手順の可視化、家族向けポータルでの動画共有(同意範囲内)による問い合わせ削減、コールセンターのFAQへ動画・指標を連携して一次回答精度を向上。データは転倒予兆検知やケアプラン自動提案への発展が可能。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - 申し送り・家族対応・OJTの現行フローと工数、ばらつき原因、KPI(転倒件数、再問い合わせ件数、独り立ちまでの日数)を可視化。撮影環境・同意取得手順・端末管理ルールも整理。
  2. 費用対効果の試算 - 1利用者あたりの申し送り時間と問い合わせ対応時間、教育時間の削減見込みを算出。人件費単価、対象スタッフ数、AIライセンス・端末費を織り込みROIモデルを作成。
  3. PoC検証 - 1ホーム(または1フロア)で3カ月実施。動画テンプレ(導入・移乗・歩行・トイレ介助等)を標準化し、家族説明に動画を併用。KPIのベースライン比で効果検証。
  4. 社内稟議 - PoC結果(定量効果・職員満足・家族満足・リスク評価)と運用体制、情報管理(同意・アクセス・保管期限)、教育プラン、費用対効果を添えて決裁。
  5. 本番導入 - 全ホームへ段階展開。動画作成の内製チームを編成し、月次で“必見動画”を更新。家族ポータル・FAQ・eラーニング・勤怠と連携し、KPIをダッシュボードで継続モニタリング。

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