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“横持ち”をAIで最適化——物流センター⇄補充倉庫の在庫移動を予測×自動指示で劇的効率化

業界:運輸・物流・倉庫 部門:ロジスティクス・物流・在庫管理 課題:コスト削減・業務効率化 ソリューション:予測(需要・在庫・横持ち計画)

背景・課題

多拠点・多SKUを扱う現場では、物流センターと近隣補充倉庫の在庫移動計画(横持ち)が属人化。手作業での予測では繁閑差や欠品・余剰が発生しやすく、臨時対応や庫内搬送のムダ、計画作成の工数増がコストを押し上げていた。

AI活用ソリューション

物流センターと補充倉庫間の横持ちを唯一の対象に定め、需要予測モデルで翌日の出荷需要をSKU単位で推計。過去の受注・在庫・横持ち実績などから、搬送元・搬送先・対象品目・数量を自動算出し、WMS/TMSへそのまま流せる“横持ち指示”として出力する。現場はダッシュボードで指示内容を確認・承認するだけ。人の経験に依存していた勘とりの調整を、AIが一貫して行うため、計画作成→入出荷→庫内搬送までの負荷が同時に下がる。SKU増や拠点追加にも学習モデルの再チューニングで即応でき、在庫の偏在や欠品リスクを抑えつつ輸送・庫内作業のムダを削減する。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 担当者が勘所や経験で横持ち計画を作成。作表や確認に時間がかかり、過不足により臨時搬送や庫内の手戻りが発生。
  • 計画指示作成工数:約75%削減/日、入出荷作業:約30%削減/日、フォークリフト作業:約15%削減/日(ALP横浜センター実績)。

導入後 (After)

  • AIが翌日分の横持ち指示を自動作成し、現場は承認・実行に専念。需要変動にも強く、横持ち量と庫内動線が最適化。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

横持ち計画の自動化により、計画立案〜庫内作業までの総負荷を大幅削減。人件費・外注費・臨時対応コストの低減と、欠品・余剰抑制による在庫健全化を同時に実現。仕組み化された予測と指示により品質が平準化し、全国拠点への横展開で削減効果が累積する。

実事例

アスクルは物流センターと近郊補充倉庫の在庫移動(横持ち)計画にAI需要予測を導入。過去データからSKUごとの需要を推計し、搬送元・先・品目・数量を自動指示化。ALP横浜センターで計画工数75%、入出荷30%、フォークリフト15%を日次で削減し、全国拠点へ展開中。

https://www.askul.co.jp/kaisya/dx/stories/00147.html

さらなる展開

同モデルを入荷量見込み・波動予測と連動させ、作業シフト自動編成や波動時の一時保管最適化へ拡張。路線便・共同配送の積載率最大化、横持ちと補充発注の同時最適化、販促・季節要因の取り込み、ベンダー連携によるVMIや安全在庫の動的化など、全体最適へ段階的に広げられる。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - 横持ち対象SKU・拠点ペア・繁閑差・現在工数・臨時対応発生要因を棚卸し。WMS/TMS/受注のデータ粒度と取得頻度、欠損状況を確認。評価指標(作成時間、入出荷・搬送時間、在庫偏在)を定義。
  2. 費用対効果の試算 - 対象拠点の横持ち件数・作業時間・輸送単価から削減余地を概算。必要なDWH/ETL・モデル運用・ダッシュボード開発費を見積もり、1〜3拠点での投資回収見込みを算出。
  3. PoC検証 - 1拠点で過去データを用いた予測精度検証→並走運用で指示自動化の実地評価。指標は計画工数、入出荷・搬送時間、在庫偏在率。運用フローと例外処理を固める。
  4. 社内稟議 - PoC結果と定量効果、スケール時の年間削減額、リスク対策(データ品質・モデル劣化・権限管理)を整理し、セキュリティ審査と運用体制を含めて承認取得。
  5. 本番導入 - DWH連携とスケジューラを本番化。ダッシュボードを現場KPIと連動し、モデル監視(精度・概念ドリフト)を導入。拠点ごとに段階展開し、定例でチューニングと効果レビューを実施。

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