AIビジネス活用事典home

“職人技の配車”を標準化——全国拠点で公平・最短・省コストを同時実現

業界:運輸・物流・倉庫 部門:ロジスティクス・物流・在庫管理 課題:コスト削減・業務効率化 ソリューション:最適化(配車・配送ルート・車両台数の最適化計算)

背景・課題

各拠点が独自のルールや土地勘に依存して配車を行い、担当者の経験に左右される“職人技”化が進行。条件変更のたびに内製システムの改修費・時間が発生し、拠点間で配車精度と所要時間にばらつき。2024年問題への拘束時間遵守やラストマイルの増加により、従来のやり方では計画立案が間に合わず、走行距離・台数・残業のムダが顕在化していた。

AI活用ソリューション

唯一の解決策:クラウド型の自動配車エンジン(LYNA 自動配車クラウド)で、現場の理想配車に合わせ込む“マスタ微調整×対話運用”を中核に据えた最適化。具体的には、拠点ごとの車両属性・作業時間・到着時間帯・エリアグルーピング・近接軒先の名寄せなどを細かくマスタ化し、日々の出荷データを取り込んでワンクリックで配送ルートと必要台数を自動算出。出力結果を現場と擦り合わせ、差分が出た条件をマスタへ反映するサイクルを回すことで、理想配車と自動計算結果のギャップを解消。クラウド上で全国拠点が同一ロジックを共有し、配車案・指示を可視化。OS変更の影響を受けず、急なオーダー変更もドラッグ&ドロップで当日計画に反映可能。結果として、配車時間の短縮、拠点間の標準化、拘束時間・到着時間帯遵守の両立、走行距離・残業の削減を同時に実現する。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • ・配車は担当者の経験依存で属人化。拠点ごとに手順と精度がばらつき、条件変更のたびに内製システム改修が必要。・ラストマイルの増加で計画が遅延し、拘束時間遵守や積載のバランス調整が困難。
  • 配車立案に要する時間を大幅短縮(担当者の試行錯誤・電話連絡・地図確認の反復を削減)。内製ツールの改修・保守にかかる工数も圧縮し、拠点横断の運用教育コストを低減。

導入後 (After)

  • ・全国拠点で同一エンジンによる自動配車を運用。現場の理想条件をマスタへ段階的に反映し、ほぼ手直し不要の計画に収束。・拘束時間や時間帯指定を守りながら、台数・走行距離・残業を抑制。・配車の可視化と共有により、標準化と引継ぎが容易に。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

効果:配車業務の標準化とスピード向上、走行距離・必要台数・残業の抑制、問い合わせ対応や計画共有の効率化。ROI:内製改修費の削減+配車工数の削減+走行・残業コストの削減がツール費用を相殺しやすく、拠点展開を進めるほど投資対効果が逓増。計算式の一例:(配車工数削減×人件費+走行距離削減×燃料・整備費+残業削減×人件費+内製改修費削減−ツール費用)÷ツール費用。

実事例

三井倉庫ロジスティクスは、全国約20拠点でラストマイルの配車計画にクラウド型の自動配車エンジンを活用。車両属性・時間帯・エリア等を細かくマスタ化し、現場と対話しながら条件を磨き込む運用で、理想配車とほぼ同等の自動計算を実現。標準化と配車時間短縮、走行・残業の抑制を両立した。

https://lynalogics.com/case/mitsui-soko/

さらなる展開

・WMS/OMS/運行管理との連携を強化し、受注〜出荷〜配車〜ドライバー指示まで一気通貫を実現。・繁忙期の波動に応じた台数シミュレーション、拠点間の融通(越境配車)や共配設計の最適化。・拘束時間規制や時間帯指定、複数訪問制約を加味した中長期の配車テンプレート化。・実績データの学習により、走行時間・積載率の予測精度を継続改善し、燃費・CO2削減も同時達成。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - 拠点ごとの配車手順・制約・データ形式を棚卸し。目的指標(台数・走行距離・拘束時間・残業・積載率)と評価方法を明確化。
  2. 費用対効果の試算 - 配車工数、走行・残業コスト、内製改修費の現状値から削減余地を試算し、ROIモデル(拠点×期間)を作成。
  3. PoC検証 - 代表拠点で1〜2週間分の実データを投入。車両属性・時間帯・エリア名寄せ等のマスタ設定を調整し、現場の理想配車との誤差を検証・改善。
  4. 社内稟議 - PoCの効果指標・ROI試算・運用体制(サポート窓口・権限・教育)を添えて全社展開計画を承認。
  5. 本番導入 - クラウド環境で拠点横断の共通マスタを整備。WMS/OMS/実績連携を順次拡張し、計画共有・指示配信・当日変更の運用を定着化。

ご相談・お問い合わせ

「うちでもAIを導入したいけどどうすればいいの?」無料で相談を承ります。AI活用についてなんでもお気軽にお問い合わせください。