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物流品質を“数値で示す”KPIダッシュボード:WMS×BIでクレームを未然に防ぐ

業界:運輸・物流・倉庫 部門:品質管理・品質保証 課題:品質向上・不良低減・クレーム削減 ソリューション:データレポート作成(BIレポート・集計表・グラフ可視化)

背景・課題

入出庫依頼が電話・FAX中心で転記ミスが発生しやすく、倉庫内の作業実績も各システムやExcelに分散。品質を示す在庫差異率や誤出荷の発生状況などを顧客に定量で説明できず、定例レポート作成も手作業で時間と手戻りが多かった。リアルタイムな状況把握と、顧客・荷主へ同じ基準で品質指標を提供できる仕組みが求められていた。

AI活用ソリューション

唯一の解決策として、倉庫管理システム(LogiComp‑WMS)で収集した庫内データ(出庫に要した人員・時間、入出庫履歴、在庫差異など)をBI基盤(Qlik Sense)に一本化し、国土交通省の物流KPIに準じた“品質ダッシュボード”を自動生成・配信する。全倉庫を無線LAN化しハンディ端末で現場データを即時取得、入出庫依頼はWeb窓口に統一して人手入力を極小化。BI側で指標定義と帳票レイアウトを持たせることで、WMS側の帳票開発を不要化。現場はバーコード照合の結果や作業時間が自動で時系列グラフ化され、品質異常(誤出荷の兆し、在庫差異の増加)を日次で把握。荷主向けには同じ指標と見え方でレポートを定期配信し、問い合わせやクレーム時はダッシュボードの該当期間・ロットに即時ドリルダウンして事実を提示できる。専門用語を使わずに“いつ・どこで・何が起きたか”を1画面で説明できるため、品質説明と再発防止がスムーズになる。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 入出庫依頼は電話・FAXで受付、担当者が転記。品質指標はExcel集計で点在し、在庫差異や誤出荷の実態を時系列で追えない。顧客ごとに体裁の異なる報告書を都度作成し、確認・修正が頻発。
  • 帳票レイアウトや内部資料の個別開発がBI側に集約されWMS側の帳票開発工数をほぼゼロ化。レポート作成は手作業から自動化され、担当者は分析と対策立案に注力可能に。現場からの数値収集・突合せに費やす時間も大幅に削減。

導入後 (After)

  • WMSの実績が即時にBIへ集約され、物流KPIに準拠した品質ダッシュボードを荷主と共通の基準で共有。誤出荷や在庫差異の兆候を日次で把握し、根因に素早く到達。定例レポートは自動生成・配信化。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

品質KPIを定量で提示できるようになり、顧客説明と改善サイクルが高速化。誤出荷の抑止や入力ミスの削減によりクレーム対応の手戻りが減少。帳票開発と運用の重複を廃し、トータルコストを削減。可視化によって営業提案力も強化され、品質を武器にした関係深化につながる。

実事例

浜松倉庫は、豊田自動織機ITソリューションズのLogiComp‑WMSとアシストのQlik Senseを採用。全倉庫の無線LAN化とハンディで庫内データを即時収集し、物流KPI準拠の品質ダッシュボードをBIで自動生成・配信。電話・FAX依頼のWeb統一で入力ミスを抑制し、レポートは自動化、業務改善と顧客説明のスピードを高めた。

https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1194799.html

さらなる展開

品質ダッシュボードを基盤に、・荷主別SLA監視と自動アラート・拠点別/作業者別の品質傾向分析・繁忙期の要員配置最適化・不良/クレーム事例のナレッジ化・輸配送の遅延要因と庫内品質の相関分析・経営ダッシュボード(原価・採算)連携へ展開可能。会計・人事・輸配送システムを取り込み、全社横断の品質KPI管理に拡張できる。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - クレーム種類・発生工程・頻度、在庫差異率、誤出荷率、レポート作成フローを棚卸し。指標定義(物流KPI準拠)とデータ所在、収集タイミングを確定。
  2. 費用対効果の試算 - レポート作成時間、帳票開発・保守工数、クレーム対応コストを基準化し、BI化・Web受付統一・無線LAN/ハンディ導入の投資対効果を算定。
  3. PoC検証 - 1倉庫・1~2荷主を対象に、WMS→BIのデータ連携、品質ダッシュボード、定期配信、アラートを試行。現場の入力負荷や運用差異を検証し指標定義を固める。
  4. 社内稟議 - PoC実績(作成時間削減、クレーム低減の兆候、現場負荷)とTCOを提示。品質・営業・ITの合意を取り、全倉庫展開の体制・役割を明確化。
  5. 本番導入 - 全倉庫の無線LAN整備とハンディ運用、入出庫依頼のWeb統一、WMS本番連携、品質ダッシュボードの標準配信を稼働。運用後は異常検知ルールと改善会議を月次で回す。

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