新製品のコンセプト検討で、デザイン性と空力・騒音・熱などの工学制約を同時に満たす検証が必要。しかし初期段階からCAEを都度回すと1ケース数十時間を要し、専任者の予約待ちや再計算の往復で“発想の数”と“検証速度”が頭打ちに。R&Dのゲート審査も遅れ、好機を逃しがち。
解決策は、トヨタ自動車・トヨタシステムズ・東京大学の共同研究から生まれたAIサロゲートモデル「3D-OWL」を中核に据えた“初期コンセプト発想スタジオ”。既存のCAE/実験結果と形状データを学習させ、設計者やデザイナーの手元PCで3D形状を読み込むだけで、Cd値や圧力・流速分布などの予測を約1分で即時表示。これにより、意匠の微修正(例:ルーフ/Aピラー角度、コーナR、リアスポイラー長)をその場で試し、発想→性能当たりを可視化→次案生成の“壁打ち”を高速に回せる。最終候補のみを正式CAEや風洞で精査する運用に切り替え、上流での手戻りと専任者負荷を大幅低減。汎用PCで動作しクラウド持ち出しも不要なため、機密形状でも安全に“発想を回す”ことに全集中できる。
成果・効果・ROI(試算) 1) 発想量:比較案数が従来比5~10倍(1分評価によりスプリント中の探索幅が拡大)。2) リードタイム:初期コンセプトフェーズ短縮(例:4週→2~3週)。3) 品質:上流での“赤点”除外により、後工程の手戻り減。4) ROI目安:年10案件で“約543h×10=約5,430h”削減。設計人時6,000円/h換算で約3.26億円相当の創出価値。ツール・導入費用を年5,000万~8,000万円と仮置きしても回収期間は約2~3カ月(いずれも前提置きの参考試算)。
トヨタシステムズが人とくるまのテクノロジー展2025で披露したAIサロゲート「3D-OWL」は、3D形状から空力などのCAE結果を約1分で予測。大規模車両モデルで従来約16時間の解析に相当する精度の“目途付け”を汎用PCで実現し、初期設計の案出しと比較検討を高速化する。
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2505/29/news038.html
横展開候補:電子機器の熱設計(放熱・風量)、家電機構の騒音・振動、産機の強度・疲労、鋳造欠陥予測(ギガキャスト含む)など“形状に起因する性能”全般。PLM/3D-CAD連携で設計レビューを自動生成、探索設計(DoE)や生成デザインと接続すれば“発想→性能→根拠提示”を一気通貫に。R&Dのブレスト会やネーミング・コンセプトワードの可視化にも、性能ヒートマップを“共通言語”として活用可能。
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