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紙とPDFのアンケート2,200件を一括データ化——群馬県のクラウドAI‑OCRで入力時間を75%削減

業界:公共・行政・団体 部門:情報システム・IT 課題:データ活用・可視化・レポーティング ソリューション:文書変換・チェック(AI‑OCR/PDF→Excel)

背景・課題

群馬県は“日本最先端クラスのデジタル県”を掲げ、県民アンケート結果の手入力が大きな負担となっていた。従来はLGWAN中心の運用でクラウド活用のハードルも高く、短期間で大量の紙・PDF回答を正確にデータ化し、集計・レポート作成までを迅速化する必要があった。

AI活用ソリューション

唯一の解決策として、クラウド版AI‑OCR(SmartRead)で紙/スキャンPDFのアンケート回答を読み取り、Excel出力まで一気通貫で実施する運用を構築。個人情報をAI学習に用いない取り扱いの覚書締結と、県の情報セキュリティポリシー適合を確認。LGWAN系からインターネット系への安全なファイル移行手順を整備し、読み取り精度を高めるためにチェックボックス主体の様式設計やホチキス止め回避など“OCR前提の帳票設計”を徹底。これにより、環境森林部のアンケート約2,200件を3名体制で短期データ化し、そのままExcelで集計・グラフ化して報告書作成を高速化した。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 前回の同様アンケート(約1,003件)は4名で手入力対応。入力・確認に長時間を要し、他業務へ支障。
  • 入力作業時間を約75%削減(約4分の1)。計算上で約150時間を削減。要員は4人→3人に減員。

導入後 (After)

  • クラウドAI‑OCR導入後、約2,200件でも3名で対応可能に。入力作業は目視確認中心となり、Excel出力から集計・報告書作成までのリードタイムが大幅短縮。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

単純作業の削減により職員時間を県民サービス向上へ再配分。現時点では費用回収は限定的だが、全庁・市町村への横展開で費用対効果の向上を見込む。業務効率化への意識醸成と問い合わせ増加により、データ活用の裾野が拡大。

実事例

群馬県はクラウド版AI‑OCR「SmartRead」で県民アンケート約2,200件を自動読み取りしExcelへ出力、確認負荷のみとする運用により入力時間を約75%削減、要員も4名から3名へ。セキュリティ要件を満たす覚書やネットワーク手順を整備し、帳票設計もOCR前提に最適化。集計・グラフ化・報告書作成を迅速化した。

https://www.smartread.jp/case/gunma_prefecture

さらなる展開

許可申請系や県庁宛の手紙・電話メモのデータ化へ拡大。帳票テンプレートと“OCR前提の設計”を標準化し、各課の小規模案件にも適用。市町村へ事例・ノウハウを共有し県全体で活用を推進。将来的にはFAQ整備や問い合わせ分析と組み合わせ、住民向け情報提供の迅速化につなげる。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - 紙・PDF起点の業務(アンケート、許可申請、手紙・電話メモ)を棚卸しし、件数・様式・個人情報区分、現行の入力工数とリードタイム、LGWAN⇔インターネットのデータ移行手順を確認。
  2. 費用対効果の試算 - 月間・年間件数から基準工数を算出し、AI‑OCRで“作業時間4分の1”を仮置き。ライセンス・運用・教育費と、時間外勤務削減や再配分効果(県民サービス向上指標)を比較。
  3. PoC検証 - 実データで小規模パイロット(例:数百件のアンケート)。読み取り精度・目視確認時間・Excel出力の整合性を測定。帳票のチェックボックス化など設計改善、セキュリティ適合と覚書を確定。
  4. 社内稟議 - 効果値(時間削減、要員削減、再配分事例)とセキュリティ要件への適合、調達方式を整理。推進体制(DX担当+各課キーパーソン)と教育計画を提示。
  5. 本番導入 - テンプレートとSOPを整備し全庁周知。LGWANからの安全なファイル移行手順を標準化。利用状況をモニタリングし、対象業務をアンケートから許可申請・文書受付へ段階拡大。

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