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地方自治体におけるAI要約・翻訳の現実的な導入事例

業界:公共・行政・団体 部門:情報システム・IT 課題:大量文書処理・多言語化の業務負荷 ソリューション:AI要約による一部自動化・AI翻訳の補助的活用

背景・課題

多くの自治体では、議会の議事録作成や対外報告書の翻訳など、“言語処理”に大きな時間とコストがかかっています。とりわけ近年は外国人住民との情報共有も増え、公用文の多言語化が求められます。しかし、AIの精度にはまだ課題があり、人のチェックを前提とした仕組み作りが不可欠です。現場では、AIの提案する要約や翻訳結果の確認作業や調整が発生します。

AI活用ソリューション

AIによる要約を議事録作成の「下書き」サポートや、AI翻訳による「一次案」の作成に活用しています。たとえば職員がAIで要件整理を行い、誤りや表現の微調整を手作業で行う運用です。現場には「正確さ」や「ニュアンス」に対する懸念があるため、必ず職員が最終確認をしています。結果として下書き段階の工数削減・スピード化には寄与している一方、完全な人手削減ではなく、人とAIの「分担」で効率化を実現しています。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 議事録や報告書の全文を人がゼロから起こす・翻訳も職員が主導で担当。文書作成や言語変換に膨大な工数がかかっていた。議事録の場合、1回12時間(2人×6時間)が平均。
  • 1案件あたり12時間→8時間へ(=4時間の削減。約33%短縮)。精度維持のため人の確認工数は当面維持。

導入後 (After)

  • AIの下書きによる要約案作成、AIの一次翻訳案を用いることで、初稿作成の負荷を大幅に圧縮。以後のチェックや修正は従来通り人が実施。不正確な要約・翻訳はその場で修正。平均作業は8時間に短縮。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

作業初期段階の工数と精神的負担が減り、現場からは「AIの誤訳や不自然な要約を直す作業があるとはいえ、最初の文章を考えるストレスが減った」との声。導入ROIは現状1.5倍程度で、今後さらなる精度向上に期待。AIの限界も理解し段階的な拡大を進めている。

実事例

小金井市ではAI議事録要約やAI翻訳を試験導入。AIの下書き案をベースに担当職員が確認・修正。初稿作成が早まり、労働負担軽減や業務時間短縮につながっているが、AI任せにはせず、必ず職員が最終チェックする運用。AIの現実的な使い方の例として注目されている。

https://www.koganei-shi.jp/smph/shiseijoho/joho/ict/ict_kaikaku_suisin/ict_jirei/ictai_yoyaku.html

さらなる展開

今後は、AI精度と現場ノウハウの蓄積に応じ、少しずつ他分野(市民問い合わせ対応や定型通知文書の案作成等)にも応用拡大を検討。ただし、現状は「人が確認する前提」での拡張にとどめる方針。業務ごとの最適な分担比率を模索し続ける予定。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - どの文書・言語処理業務に負荷が集中しているか現場ヒアリング・業務棚卸しを実施。
  2. 小規模検証(PoC) - 重要でない文書や過去データでAIを試験運用し、精度・作業時間削減効果・リスクポイントを洗い出す。
  3. 人的チェック体制・プロトコル整備 - AI自動化範囲と人間が最終責任を持つ部分を明確化。ガイドラインや修正フローを策定。
  4. 本番部門での段階的運用開始 - 対象業務を広げ、現場職員のフィードバックをもとに継続改善。
  5. 全庁的展開と他業務への適用拡大 - AI精度向上・運用ノウハウ蓄積後、より多様な業務へ展開し、最適なAIと人の“分担”型運用を追求。

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