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翌日の配送量まで読み当てて配車を自動最適化—医薬品卸の“時間厳守”物流をムダなく回す

業界:商社・小売・卸売(医薬品卸) 部門:ロジスティクス・物流・在庫管理 課題:コスト削減・業務効率化 ソリューション:最適化(配送業務量予測に基づく配車・配送ルート最適化)

背景・課題

医薬品卸はSKU数と緊急出荷が多く、病院・薬局の時間指定や待機短縮など厳格な制約下で毎日変動する注文に対応する必要がある。従来は固定ルートと担当者の勘に依存した配車で、繁忙日には車両や要員の過不足・長距離走行が発生し、燃料費・有料道路費の増加、現場の対面作業の非効率が課題だった。

AI活用ソリューション

唯一の解決策として「配送業務量予測×配車・ルート自動最適化AI」を導入する。過去の販売・物流・商品データや需要トレンドをAIが学習し、得意先ごとの翌日の注文数・配送発生確率・納品時滞在時間を予測。予測結果を入力に、渋滞/有料道路/時間指定/車両台数・積載量など医薬品特有の制約を同時に満たす配車計画と配送コースを自動生成する。固定ルートに縛られず日次で最適化し、繁忙日はヤマトグループ等の外部リソース活用まで含めて配車を調整。結果として、無駄走行や二度手間の訪問を削減しつつ、病院側の受け入れ時間に合わせた確実な納品と現場対面作業の短縮を両立する。専門知識がなくても、ダッシュボードから“明日の最適配車案”を一括確定・修正でき、現場の暗黙知は『走らない道』や『分割配送の抑制』などのルールとして設定可能。これにより、医薬品卸の重要指標であるオンタイム率とコストの同時改善を実現する。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • ・固定ルート中心で繁忙・閑散の波に追従できず、手作業調整が常態化。・現場では到着時刻のばらつきにより検品待ちや作業停滞が発生。・走行距離と有料道路費が増え、CO2排出も増加。
  • 工数の具体例:配送生産性 最大20%向上、走行距離・CO2 最大25%削減、医療機関での対面作業時間 最大20%削減(公表値ベース)。

導入後 (After)

  • ・日々の予測需要に応じた動的な配車・ルートに切替。・病院・薬局の時間窓を守りつつ、訪問順序と積載率を同時に最適化。・車両稼働の平準化で燃料費・有料道路費・CO2を削減し、対面作業も短縮。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

効果:距離・有料道路費の削減とともに、時間窓遵守率向上と現場の受け入れ停滞減少を同時達成。想定ROI:予測精度が立ち上がる3~6カ月後からコスト削減が顕在化し、運用規模により概ね12~24カ月で投資回収が見込める。

実事例

医薬品卸のアルフレッサとヤマト運輸は、AIで配送業務量を予測し、その結果に基づく配車計画を自動作成。固定ルートから日次最適化へ切替え、配送生産性最大20%向上、走行距離・CO2最大25%削減、医療機関での対面作業時間最大20%削減を見込む取り組みを首都圏から展開。

https://it.impress.co.jp/articles/-/21860

さらなる展開

・全国拠点への横展開(需要特性が異なる地域別モデル)・WMS/受発注システムと連携して欠品・緊急出荷を自動吸収・ドライバーシフトや積載制約を加味した人員最適化・温度帯(冷蔵・冷凍)や規制品の同乗制約を含む高度ルーティング・CO2可視化とカーボンコスト反映・返品・回収便を含めたラウンドトリップ最適化・関係会社や3PLとの共同配車・共同配送最適化

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - 配送データ(受注・出荷・停滞時間・到着時刻・車両情報・コスト)と時間窓・運用ルールを棚卸し。KPIを『距離・有料道路費・オンタイム率・対面作業時間』に定義。
  2. 費用対効果の試算 - 現行距離・台数・人件費・燃料単価からベースラインを作成。需要の変動幅を踏まえて削減余地をモデル化。初期費用・運用費に対して12~24カ月の回収シナリオを作成。
  3. PoC検証 - 1~2拠点で3カ月程度、AIの予測精度と配車最適化をA/B比較。『走らない道』『分割配送抑制』など現場ルールを反映し、KPI達成可否を判定。
  4. 社内稟議 - PoC結果(コスト・サービス品質・安全)と現場受容性、必要な業務オペ変更をまとめ、拠点別の段階導入計画と予算を確定。
  5. 本番導入 - ダッシュボード運用と運用ガイド整備、WMS/TMS/受注とのAPI連携を本番化。精度監視とルールメンテ体制(月次レビュー)を構築し、拠点横展開。

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