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AIレコメンド発注で欠品抑制と売場最大化—週6時間の発注作業を削減

業界:商社・小売・卸売 部門:営業・販売 課題:売上向上・新規顧客開拓 ソリューション:最適化(需要予測×発注最適化)

背景・課題

各店舗の担当者が経験や勘に頼って発注しており、時間負担が大きい一方で、欠品による販売機会ロスや過剰発注による廃棄ロスが発生していた。即食系(おむすび・弁当・サンドイッチなど)は需要変動が激しく、天候・時間帯・立地による差も大きいため、人手での最適化に限界があった。

AI活用ソリューション

唯一の解決策として、コンビニ特有の“日配・中食”カテゴリに絞ったAIレコメンド発注を導入。過去1年の販売実績に加え、店舗前通行量(時間帯・性別・年代)、気象(気温・湿度・降水・日照)、カレンダー(祝日等)を取り込み、日別・便別・単品別に販売を予測。予測に基づくSKUごとの推奨発注数を1日4回更新し、次便までの在庫繰り越しを考慮した「売場ボリュームを保つ数」も自動算出することで、欠品を抑えつつ陳列量を確保する。さらに、利益額が高く立地が近しい“お手本店”の実績を参照し、未採用の売れ筋を提案して品揃えを改善。店長は推奨値に対し手動微調整だけを行えばよく、発注判断の質とスピードを同時に底上げする。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 担当者が実績照会と勘で数量を決定。天候・イベント変動に追随できず、欠品・廃棄ロスが発生。品揃え改善の機会も個人の経験に依存。
  • 発注業務時間を1週間あたり約6時間削減(500店舗で先行運用)。

導入後 (After)

  • AIがSKU×便単位の推奨発注を常時提示。売場ボリュームを自動調整し、欠品抑制と廃棄ロスの適正化を狙いながら、品揃え提案で新規需要を取り込む。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

確認された効果:発注作業時間を週約6時間削減。狙い:欠品抑制による販売機会の確保、廃棄ロスの適正化、品揃え精度の向上による来店満足度向上。ROI観点:人件費削減+売上機会確保+廃棄削減の三重効果で短期回収が期待できる(実績の時間削減は確定値、売上・廃棄は店舗データで継続検証)。

実事例

ファミリーマートは2025年6月末から全国500店舗で「AIレコメンド発注」を運用。過去実績、通行量、気象、祝日などを用いて日別・便別・単品別に最適な発注数を自動提案し、発注作業を週約6時間削減。欠品抑制と廃棄ロス適正化、品揃え改善を狙う。

https://www.family.co.jp/company/news_releases/2025/20250710_01.html

さらなる展開

先行カテゴリ(中食)での効果検証後、飲料・菓子等の拡大、販促カレンダー連動の初期発注最適化、地域イベント・学校行事などローカル要因の自動取り込み、時間帯別フェイス割当ての自動最適化、MD・価格・廃棄基準の連動最適化、製造・物流便計画との需要連携(店舗→DC→工場)へ水平展開。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - SKU・便・時間帯別の欠品率/廃棄率/発注作業時間を可視化。対象カテゴリと評価指標(作業時間、在庫充足、廃棄、販売機会)を確定。データ出所(POS、在庫、天候、通行量)と連携可否を点検。
  2. 費用対効果の試算 - 現状KPIと想定改善幅(時間削減6時間/週など)でベースラインを作成し、月次の人件費・機会損失・廃棄コストでROIシナリオを試算。システム費・運用費を含むTCOも算出。
  3. PoC検証 - 代表店舗群(立地・規模別)で2~3便・主要SKUに限定導入。評価指標:発注時間削減、在庫充足率、廃棄率、販売機会ロス。現場フィードバックで推奨値の調整UI・例外運用(新商品・イベント)を磨く。
  4. 社内稟議 - PoC結果とROI、リスク(在庫過不足時の運用ガイド、責任分界)、セキュリティ・個人情報取扱い方針を整理。運用ポリシーとKPI定義を全社合意。
  5. 本番導入 - 対象カテゴリを段階拡大し全店展開。教育(店長・SV向け)とヘルプデスク体制を整備。モデルの再学習スケジュール、精度モニタリング、継続改善(お手本店の選定ロジック含む)を運用ルール化。

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