中小小売業では、競合店舗・ECとの価格競争が年々激しさを増している。しかし、従来通り人手で競合調査・価格設定を行うと、スピードが追いつかず、全体売上や利益率低下を招くケースが多い。特に多品種を扱う現場では1点ごとの最適な価格判断ができない、負荷が大きい、現場社員への属人化リスクが高いといった課題が指摘されていた。
東京都内でドラッグストアチェーンを展開する『ウエルシア薬局』では、AIを活用した価格設定システムを2023年に一部店舗にて導入。競合店の価格動向をWebクローリングで取得し、店頭・EC双方の売れ筋や在庫状況、会員IDを活用した過去販売履歴など、多角的なデータを組み合わせて機械学習モデルが適切な価格帯を洗い出す仕組み。現場担当者はAIが提案した価格案をダッシュボードで確認し、必要に応じて微調整するハイブリッド運用としたことで透明性と実行力を両立した。
テスト導入を行った10店舗の売上は導入前年度比で平均4.3%増加。利益率も主要カテゴリーで0.9ポイント向上した。費用対効果(ROI)は初年度で1.5倍、2年目以降は2倍超が見込まれている。社員の負担感・ミスも軽減し、現場からの評価も高い。
『ウエルシア薬局』新宿店などでAI価格最適化システムを先行導入。競合価格・販売履歴・在庫情報を掛け合わせて自動で提案価格を生成、担当者は承認フローで最終決定。導入後3か月で主要品目の販売機会損失が減少、利益率向上を実現。現場からは「作業負担の軽減と根拠ある価格戦略の両立」が評価された。
今後は全グループ店舗・ECでの実運用拡大、データ連携対象(顧客属性・天候・プロモーション情報など)の拡充、高頻度価格修正が求められる生鮮・日配分野への応用も視野にある。成功事例をもとに中小規模事業者へのコンサルティングやシステム外販も検討中。
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