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アパレルECの問い合わせを“AIで即解決”——2カ月で本番化し、満足度60%と自己解決率55%を実現

業界:商社・小売・卸売 部門:サービス・カスタマーサポート 課題:顧客満足度向上・サービス改善 ソリューション:チャット応対自動化(AIチャットボット)

背景・課題

人気ブランドを多数展開するアパレル小売ではEC経由の問い合わせが増加し、月間約2.3万件・年1万件ペースで増え続けた結果、待ち時間や回答品質のばらつきが発生。内容は「配送状況」「ログイン/ポイント」「返品・交換」など定型比率が高い一方、繁忙期に集中しオペレーターの負担が増大、CS低下リスクと改善余力の不足が課題だった。

AI活用ソリューション

唯一の解決策:ECサイト上に業務特化型バーチャルエージェント(AIチャットボット『コトヨさん』)を導入し、24時間自己解決できる“会話の導線”を作る。具体的には、過去のメール/チャットログとオペレーター回答例を材料に、問い合わせ意図(配送・アカウント・ポイント・返品/交換)ごとに分岐を最短3クリックで完結できる会話シナリオを設計。言い回しのゆらぎ対応と雑談データで離脱を抑制し、回答不能時のみ有人チャットへスムーズに引き継ぐ。初期はFAQの棚卸しと優先度付けに集中して手戻りを最小化、約2カ月で本番化。将来は会員・配送APIと接続し、注文状況やポイント残高をチャット画面で即表示させ、“問い合わせ→確認→処理”を1画面で完結させる。専門用語を避け、ボタン選択中心のUIにより誰でも迷わず自己解決できる体験を提供する。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 問い合わせが月間約2.3万件に到達。繁忙期の待ち時間増、回答のばらつき、CS低下リスク。人手依存で24時間対応ができず、原因分析や改善に回す時間も不足。
  • 自己解決55%により、月2.3万件のうち最大で約1.3万件相当が自動化のポテンシャル。有人応対1件あたり5分換算で、月約1,000時間超を削減しうる。

導入後 (After)

  • 導入直後の顧客満足度60%(2019年4月時点)。問い合わせの約55%をチャットボットが対応(2019年5月時点)。24時間自己解決を実現し、オペレーターは難易度の高い案件や改善活動へシフト。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

短期導入(約2カ月)で早期にCS60%を確保し、自己解決率55%でピーク時の待ち時間を圧縮。定型問い合わせの自動化により応対品質の均一化・離脱抑止に寄与。概算ROI(例):有人コスト400円/件×自動化1.2万件=月約480万円のコスト圧縮ポテンシャル。

実事例

アダストリアのEC[.st]にAIチャットボット『コトヨさん』を導入。過去ログと現場回答を学習し、配送・ログイン・ポイント・返品などを24時間で自己解決。初期構築から約2カ月で本番化し、導入直後の顧客満足度60%、問い合わせの約55%をチャットで対応。ピーク時の待ち時間を抑え、担当者は難案件と改善活動に注力できる体制へ移行した。

https://www.altius-apps.com/cases/adastria.html

さらなる展開

・会員/配送API連携で本人特定後に“配送状況の即時表示・返品受付”までチャット完結化。・LINE/アプリ内チャットへ拡張し、販促クーポンや在庫連携で“問い合わせから購入”を一気通貫に。・店舗スタッフ用チャット(社内FAQ)に横展開して新人支援と回答品質の均一化。・問い合わせデータを商品改善/在庫計画にフィードバックするVOC分析基盤へ接続。・音声IVRと連携し、電話の一次応対を自動化。

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - 問い合わせカテゴリの分布、ピーク時間、一次解決率、平均処理時間を計測。過去ログを抽出し、トップ20意図(配送・アカウント・ポイント・返品等)を特定。
  2. 費用対効果の試算 - 対象意図の件数×平均処理時間×人件費で削減工数とコストを算出。CS/離脱率改善の効果もモデル化し、KPI(自己解決率、CS、平均応答時間)を定義。
  3. PoC検証 - 上位意図5〜10件で会話設計→サンドボックス公開。回答正答率、離脱率、エスカレーション率を計測し、FAQ・表現ゆらぎ辞書を調整。
  4. 社内稟議 - PoC結果(削減時間・顧客満足・投資回収見込み)を提示。セキュリティ・個人情報の取り扱い、運用体制(FAQ更新責任者・週次チューニング)を明文化。
  5. 本番導入 - トップ意図から段階公開。有人チャットへの連携、営業時間外の自動化、VOCダッシュボードを稼働。月次で自己解決率・CSをレビューし、API連携や対象意図を順次拡大。

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