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発注チェックを無人化:RPA×AI-OCRで月1000件処理、作業時間17%削減(KDDI事例)

業界:IT・通信 部門:情報システム・IT 課題:コスト削減・業務効率化 ソリューション:業務自動化・RPA(API連携・処理自動化)

背景・課題

通信事業の多角化で購買の発注件数が増加。見積書(PDF)と社内の発注依頼データの突合・入力・承認回付を人手で行っており、担当者の負荷増、ヒューマンエラー、承認リードタイムの長期化が課題だった。

AI活用ソリューション

唯一の解決策は、見積書チェックの全工程を「AI-OCR+RPA+社内購買システム」へ直結させること。具体的には、取引先から届く見積書PDFをクラウドAI-OCRでAPI呼び出しし、品目・金額・税区分・取引先名・支払条件などを自動抽出。RPA(UiPath)が社内の購買依頼データと自動突合し、差異が設定閾値内なら購買システムへ自動登録、承認者へ自動回付する。閾値超過や必須項目欠落は例外キューとして担当者にだけ通知し、人は判断が必要なケースに集中。承認画面には“ロボット実施”が明示されるため確認のメリハリが効き、監査ログも自動保存。取引先ごとに異なる帳票フォーマットはAI-OCRのテンプレート管理で段階的に追加し、対象先を広げるたびに自動化効果が逓増する。これにより、手作業の開封→目視→転記→回付という通信業特有の大量・多様な伝票処理を、無人かつ一貫処理へ置き換える。

AI導入前後の変化

導入前 (Before)

  • 見積書PDFを開いて目視で項目確認→社内発注データと突合→購買システムへ手入力→承認者を手動指定・回付。人手依存でミス検知や進捗把握も困難。
  • 月あたり約1000件前後をロボットが処理し、発注申請チェックの作業時間を約17%削減。PoCは4カ月で有効性を確認し、本番稼働2カ月時点で削減効果を実測。

導入後 (After)

  • 見積書の自動テキスト化→自動突合→購買システムへ自動登録→承認の自動回付。例外のみ人が対応し、処理状況はダッシュボードで可視化。

イメージ図

AI活用イメージ図

成果・効果・ROI

- 定量効果:発注業務のチェック時間を約17%削減、月1000件規模を自動処理。承認までのリードタイム短縮、エラー抑止。- 定性効果:人は交渉・異常判断へシフト、監査対応の強化。- ROI:短期間PoCで効果を確認後に本番化し、早期に投資判断・費用回収を見込める運用モデルを確立。

実事例

KDDIは購買発注で、見積書(PDF)のAI-OCR読取と社内発注データの突合・承認回付をUiPathで自動化。PoCを2019年12月〜2020年3月に実施し、2020年7月に本番化。本番2カ月時点で月約1000件をロボット処理し、チェック作業時間を約17%削減。ヒューマンエラー抑止と承認スピード向上を実現した。

https://www.uipath.com/ja/resources/automation-case-studies/kddi

さらなる展開

- 取引先テンプレートの拡充(対応ベンダーを段階拡大)- 見積→発注→検収→請求までの一気通貫自動化(ERP・会計とのAPI連携)- 価格・数量の異常値検知、差し戻し理由の自動生成- 契約書条項の自動照合、稟議文面の自動作成- グループ会社・海外拠点への横展開、共通ロボット資産の統制・監視

導入ロードマップ

  1. 現状分析 - 購買プロセスの可視化、帳票種別と取引先フォーマットの棚卸し、例外パターンの洗い出し。KPIは件数・処理時間・差戻し率。
  2. 費用対効果の試算 - 対象件数(例:月1000件)、1件当たり処理時間・人件費単価、RPA/AI-OCR/運用費を入力し、削減時間・回収期間を試算。
  3. PoC検証 - 対象を限定(例:特定取引先数社)し、AI-OCRテンプレート作成、API連携、突合ロジックと閾値を検証。実測KPIで本番可否を判断。
  4. 社内稟議 - PoC実績(17%削減など)を根拠に、投資対効果・リスク(権限・監査・例外対応)・運用体制(ロボット管理、ログ保全)を提示。
  5. 本番導入 - テンプレート拡充、監視ダッシュボード整備、例外対応SLAと保守体制確立。段階的に取引先と対象業務を拡大し、効果を逓増。

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